XTC エックス・ティー・シー「Apple Venus Volume 1」アップル・ヴィーナス・ボリューム 1


XTC Apple Venus Volume 1

XTCとは?

XTC(エックス・ティー・シー)は、イングランド・ウィルトシャー州スウィンドン出身のロック・バンド。バンド名はアンディ・パートリッジが「Ecstasy」をもじったもの。 ビートルズやザ・ビーチ・ボーイズといった英米問わず、オールディーズなポップスや、サイケデリック・ロックなどからの幅広い影響をもとに、その活動を通じてポップミュージックのオルタナティヴな可能性を追求した。独特のポップセンスとこだわりに満ちたアレンジを志向しながらポップス・ロックとしてのフォーマットを損なわない大胆なアプローチは、のちのブリットポップ・ムーヴメントにも大きな影響を与えた。 日本のミュージシャンでは、P-MODEL、ムーンライダーズ、カーネーション、スピッツ、L⇔R、POLYSICS、ホフディラン、People In The Box、サカナクション、カジヒデキ、Base Ball Bear、トータス松本、奥田民生、布袋寅泰、福山雅治などに影響を与えている。wikipediaより (2022年)

初めてXTCを聴いた時は活動停止する時期だったと思いますが、“ビートルズ”的な雰囲気でとても美しい曲だったなと覚えています。
初期の頃はポスト・パンク的な感じですが、中心的存在かつアイデアマンである“アンディ・パートリッジ”によるアーティステックな方向性に徐々にシフトしていっているのが面白いです。

国内でも多くのアーティストに影響を与えているXTCですが、曲はポップでありながらもどこかひねくれた感じがあり、そこが唯一無二のサウンドで飽きさせません。
アンディ・パートリッジは“ポール・マッカートニー”を敬愛しているようですが、その雰囲気も垣間見えますね。また《ブリティッシュ》らしさが滲み出ているのも文化というものを感じさせます。

洋楽おすすめ!
1990年代末に発売されたXTCの11枚目のオリジナルアルバムApple Venus Volume 1

アコースティックなサウンドを中心にクラシカルな芸術性とポップソングの融合、そしてアイデアが詰まった美しい曲が収録されています。ラスト3曲は涙無しでは聴けません、、
また孔雀の羽がデザインされたジャケットも心惹かれますね。

ボリューム1という事は《ボリューム2》もある訳ですが、そちらは実質XTCの最後のアルバムとなっておりエレクトリックギターの要素が強くなりますがそちらも極上のポップ・アルバムとなっておりオススメです。

アンディ・パートリッジの芸術性と音へのこだわりが高みに到達した最高の一枚です。

最後にアルバムのカバー(曲目が書かれた裏側)に記載されたアンディ・パートリッジの言葉をご紹介。

「 DO WHAT YOU WILL BUT HARM NONE 」
“好きなことをしてもいいが、他人を傷付けないこと”


❤️1. River of Orchids

リバー・オブ・オーキッズ

水面に滴が落ちる音、ストリングスを細切れにしたような断片的な音から徐々にメロディが形成されていく美しい曲。ミニマルな雰囲気で小刻みに鳴らされるブラス、声も楽器の一つのように扱われ被せ具合も素敵。感情というよりも情景感が広がります。


❤️2. I'd Like That

アイド・ライク・ザット

アコースティックギターとクラップ的なサウンドで始まるカントリーな雰囲気で始まりながらも、美しいコーラスワーク、流れ落ちるような木管楽器の音、フェードサウンドなど単純には終わりません。終わり頃にはフラメンコ風の展開に。


❤️3. Eatser Theatre

イースター・シアター

始まりは怪しい雰囲気のストリングスですがとても印象深く記憶に残ります。オーケストラの音を使用したサビに向かうまでの緊張感が高め方がこの上なく、サビでの解放感が気持ち良いです。メロディも美しく切なく、終焉でのアコギの追い討ちでは涙が出る。


❤️4. Knight's in Shining Karma

ナイツ・イン・シャイニング・カルマ

ギターのクリーンなアルペジオと囁くようなボーカルで童謡のような雰囲気を持った曲かと思えばコーラスにより聖歌のようにも感じられ、はたまたパーカッションが少し入ると大人の切ないバラードのようにも聞こえる。


🍏5. Frivolous Tonight

フリヴォラス・トゥナイト

ベーシストのコリン・モールディングがボーカルをとった曲。ミディアム・テンポのシンプルなピアノに呼応するような歌とオーケストラでクラシック劇を見ているような気分です。


❤️6. Greenman

グリーンマン

小気味良いファゴットの音で始まりオリエンタルな雰囲気のストリングスへの展開。自然の山々の景色を浮かばせるような曲で歌のメロディも秀逸。音数はわずかながらベースのフレーズも耳に残ります。後半に進むにつれ壮大なオーケストラに。


❤️7. Your Dictionary

ユア・ディクショナリー

アコースティックギターの弾き語りによる物悲しさのある曲。途中から入る切ないピアノとストリングスが芸術的です。ただ悲しさのある雰囲気だけではなく発散できるような開けたソングライティングとなっており末尾にはクリスマスソングのような展開に。


🍏8. Fruit Nut

フルーツ・ナッツ

こちらもコリンがボーカルをとっており跳ねるような軽快な曲。ビートルズの雰囲気が垣間見えつつ、一部ではエフェクトを駆使するなどをして面白い曲に仕上がっています。


❤️9. I Can't Own Her

アイ・キャント・オウン・ハー

1本の映画を見ているようなオーケストラを使用した壮大な曲。やはりひねくれた部分を感じ、ただでは終わらない曲展開やコーラスワークも面白い、そして美しく切ないです。


❤️10. Harvest Festival

ハーヴェスト・フェスティバル

アンディー・パートリッジのポール・マッカトニー愛が感じられる穏やかなピアノの弾き語りから始まり、鼓舞するようなドラマティックな展開に。最後はリコーダーで終わるなどアイデアも素晴らしいです。


❤️11. The Last Balloon

ザ・ラスト・バルーン

浮遊感がありまったりとしたスローなナンバーで悲しみを感じさせる曲。ストリングスの上に色気のあるホーンサウンドが奏でられ後半のソロは圧巻です。リバーブ感も心地良く音に対する拘りも感じますね。



XTC「Apple Venus Volume 1」 ❤️ written by Andy Partridge 🍏 written by Collin Moulding.