NINE INCH NAILSナイン・インチ・ネイルズ「The Downward Spiral」ザ・ダウンワード・スパイラル


Nine Inch Nails The Downward Spiral

NINE INCH NAILSとは?

ナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)は、アメリカ合衆国オハイオ州クリーブランドで結成されたインダストリアル・ロックバンド。2020年に『ロックの殿堂』入り。wikipediaより (2022年)

初めてナイン・インチ・ネイルズ(通称「NIN」)を聴いたのは二十歳くらいだったと思いますが、かなり闇の部分を感じました。
初期の頃と比べると後期の方ではだいぶサウンドも変わってきていますが音楽的なセンスは変わらず抜群だと思います。

ライブ等ではバンド構成で演奏されていますが基本的には男性アーティスト“トレント・レズナー”氏によるワンマン・スタイル。
過激な曲が多いですが、幼少の頃にクラシック・ピアノを習っていたせいかピアノも曲で度々起用されており日本人の中でもトップアーティストと呼べる“宇多田ヒカル”さんにも影響を与えたミュージシャンとして名前が入っています。

洋楽おすすめ!
1990年代に発売されたナイン・インチ・ネイルズの2枚目のスタジオアルバムダウンワードスパイラル

オススメしていますが、かなり暴力的なサウンドと憂鬱な雰囲気が漂っていますので明るく楽観的な方にはおすすめできません、、、闇に落ちます。自己否定感が強く闇に落ちている方は涙するかもしれません。
またエンジニアとして尊敬する“アラン・モウルダー”氏が参加しており、素晴らしいミキシングが感じられます。

世の中の無情感や怠惰感、凶暴性が凝縮されつつ感情に訴える名盤です。


1. Mr. Self Destruct

ミスター・セルフ・デストラクト

何かを打ち付けるような音で始まり工業機械が発するような無機質なサウンド、ザラついたディストーションのエレキギターと叫ぶように歪んだボーカルによる攻撃的な曲。歪みで埋め尽くされます。


2. Piggy

ピギー

囁くような気怠いボーカルと徐々に浸食されていく気分になる超音波装置のようなサウンドとは反対に打ちつけるような不規則なドラムが際立ちます。


3. Heresy

ヘラシー

怪しいシンセで始まり裏声によるボーカルから叫びに変わると共に鋭く切り刻むように歪んだエレキギターで追い討ち、間奏には足音やうめき声のようなサウンドもありプログレ的な雰囲気もあります。


4. March Of The Pigs

マーチ・オブ・ザ・ピッグス

速いテンポによるスラッシュメタル的なサウンドと叫ぶボーカルを抜けて、無機質な動力機のような音からシンプルなピアノのフレーズへの変化。緩急のある曲ですが、やはりメロディセンスを感じます。


5. Closer

クローサー

シンプルなドラムマシン・サウンドに小刻みにうねるようなシンセが乗り、軽やかさがありつつもシンセ・ストリングにより緊張感が高まります。途中でエレクトロな雰囲気と歪んだギターが交錯しつつもグルーヴ感のある曲。


6. Ruiner

ルイナー

リバース再生音とシンセウェーブ、ラップのような速いボーカルフレーズがかっこ良く、音で埋め尽くされた後、壮大な雰囲気に変化していくこちらも緩急のある曲です。


7. The Becoming

ザ・ビカミング

歪んだ電子音によるエクスペリメンタルな雰囲気に加え呻き声のような音が入っており不気味です。けれども途中に穏やかなアコギサウンドを挟む奇妙な展開。


8. I Do Not Want This

アイ・ドゥ・ノット・ウォント・ディス

不協なピアノフレーズによる怪しい雰囲気から一気にディストーションギターと叫びが炸裂、擦れたような音と歪ませたインダストリアル・サウンドをバックにファジーな展開に。



9. Big Man With A Gun

ビッグ・マン・ウィズ・ア・ガン

声をリバース再生したようなサウンドからヘッドバンキングしたくなるような歪んだギターの半音上昇フレーズ、2分弱の間にノイズで満たされていきます。



10. A Warm Place

ア・ウォーム・プレイス

深いリバーブのアンビエントな空間の中にシンプルながら切なく優しいメロディがポツンと存在し、虚無感のようなものと安らぎのようなものを感じます。


11. Eraser

イレイザー

印象に残るドラムフレーズを繰り返しつつ、呼応するようなリズムで鳴らされる不安定なピッチ音が怪しい霧の中を彷徨う感覚。途中からピアノとハサミのような音が入り、ヘヴィなディストーションギターへ。


12. Reptile

レプタイル

映画などに出てくるロボットが動く時の機械音のようなサウンドが印象的で繰り返されつつも音を重ね、荒れ果てた近未来を彷彿するような世界観。


13. The Downward Spiral

ザ・ダウンワード・スパイラル

蠢くような弱々しい音や虫の大群が飛ぶような音がわずかに渦巻く中、アコースティック・ギターの下降していくメロディが響き、闇に沈んでいくかのようなインスト曲。


14. Hurt

ハート

どこか不穏な雰囲気を持ちながらも穏やかなギターのアルペジオに囁くようなボーカルが乗り、徐々にドラムやピアノが入り盛り上がりをみせる中、僅かな希望を感じさせつつも不協な分厚いサウンドも混じってきて最後は絶望で終わります。涙が出てくる悲しみの名曲。



※日本盤にはジョイ・ディヴィジョンの曲「Dead Souls」のカバーが追加収録されています。